企業人として必要なビジネス知識は中小企業診断士試験で効率的に取得
中小企業診断士試験はビジネス知識の勉強にもってこい!
中小企業診断士という資格をご存じだろうか?
お恥ずかしながら私はつい最近までこの資格の存在をほとんど知らなかった。名前だけはかろうじて聞いたことがあったわけだが、具体的に何の資格でどうすればその資格を取得できるのかは全く存じ上げなかった。
偶然、会社の同期が、「中小企業診断士の勉強をしている」という話をしているのを耳にし、なんだそれ?と思い話を聞いてみると、ビジネスに必要な知識である「経営学」「財務会計」「経済学」「法務」などの知識を網羅的に要求される国家資格のようで、難易度はそこそこ高いみたいだ。
同期はあと一歩のところで昨年の試験を落ちており、今年再チャレンジするとのことだったので、せっかくなので一緒に勉強してチャレンジすることにした。
そうはいっても、勉強の仕方なんてのもよく知らなかったので、まずはその同期に中小企業診断士の資格試験虎の巻的な本を紹介いただいた。まずはこれで取得に向けたスケジュールを立てることから始まる。
どうやら試験は1次試験と2次試験に分かれており、1次試験は7科目マーク式、2次試験は記述式で4科目(4事例)あるようである。その2つに合格すれば、その後に口述試験があるが、これは、まぁ、誰でも合格するようなものらしく、基本的には1次試験、2次試験を突破すればOKのようだ。
あとは、試験合格後に有償で実務補習なる教育プログラムを受けるか、もしくは、3社以上の診断実務をこなさないと正式登録とはならないようだが、とりあえず、まずは試験をクリアすることから始まる。
私は事前知識がある程度あったために、比較的スムーズに1次試験、2次試験を突破することができたが、中小企業診断士の試験勉強は社会人の必須知識を一番効率的に取得できる最高の教材であると改めて感じている。
試験合格に向けた勉強スケジュールやコツについては別記事でまとめているので、記事が出来次第共有したいと思う。
1次試験は社会人の常識知識がてんこ盛り!
1次試験はマーク式のテストであり、「経済学」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」の7科目である。これらを平均60点、但しどの科目も40点を下回らない点数を取る必要がある。
この7科目のうち「中小企業経営・中小企業政策」を除く6科目は、まさしく大企業で活躍する人材にとっては無くてはならない知識であるといえる。
「企業経営理論」はいわゆる経営学の基本的な知識を問われるもので、戦略論からマーケティング理論、組織論やモチベーションの理論など、通常の企業での業務、例えば、事業計画を書いたり事業戦略を策定したり、プロジェクトマネジメントをしたりなどに応用可能な知識が山ほど詰め込まれている。
「財務・会計」はアカウンティングとファイナンス。特に財務諸表を読んで自社の経営状況を知ったり投資回収計画を作ったりと役に立つ。企業価値はどうやって計算するのか、投資判断はどうやっているのか。そこらへんの知識はある程度の出世を目論む人には必須の知識となる。
「運営管理」は製造業などに特有の分野かもしれないが、在庫管理や製造のレイアウト、QC7つ道具など、いろんな分野にも応用できそうな知識が多い。店舗設計などもたしかこの科目に含まれていたかと思う。
「経済学」は特にマクロ的な視野で事業を俯瞰してみる際には非常に役立つ知識が含まれているし、「経営法務」は知財などの知識が体系的に身につく。「経営情報システム」はいわゆるIPAの応用情報技術者試験に似た内容であるが、これからの時代、最低限のIT知識は必要となるだろう。
このように1次試験は企業人として生き抜いていくのに必須の知識が盛りだくさんである。
当然、それらの知識を深めるためには、この試験のレベルではカバーできるわけではないが、初学者~かじったことがある程度の人たちが、体系的に知識を手に入れるのには、これほど打ってつけな教材は無いように思う。
2次試験はリアルの仕事にも活きてくる!
2次試験は事例を読んで記述式で解答することを4回繰り返す。午前に2事例、午後に2事例といった具合だ。
たとえば、「A社は明治に創業して現在は3代目が引き継いで~」などといったストーリーの文章を読んで、設問に答えるわけだ。設問は基本的には企業診断であるので、A社の3代目に対してどういうアドバイスができるか?などといった類のものが多く、相手の状況を正確に理解し、分析したうえで、正論ではなく相手のことを慮った回答をする必要がある。
正論ではなくというのがポイントで、世の中正論だけ振りかざしていては誰も動かないのは、企業人であればだれでも理解できると思う。正論では人件費削減のために従業員クビにしろ!という話になるかもしれないが、そうではなくて、3代目がどういうビジョンを描いていて何を大切にしているか?というところを慮った回答が求められる。
こういう力ははやりリアルの仕事現場で生きてくる。特に理系の人たちはデータからでた結果を正論として振りかざす傾向にあるので、そうならないような訓練としても、中小企業診断士の2次試験は活用可能である。
まとめ:中途半端な資格勉強するなら中小企業診断士を取得しよう!
中小企業診断士試験勉強が具体的にどんな業務にどう活きて来たのか?については、また、おいおい科目別に述べていきたいと思うが、試験合格をして診断業務を実施してから数か月経とうとしている現在、本当に取得してよかったと感じる機会が非常に多いかった。
特に、これまで馴染みのなかった知財部門の人たちとの議論や、投資回収計画を作成して幹部から報告を求められたときの議論などで大いに役に立った。アイツはできるぞ!と思っていただけたようで先にも繋がった。
企業人としてしぶとく生きていくのであれば、この資格は取得して損はないだろう。
そして、もしもの時は、中小企業診断士として独立開業すれば、まぁ、妻子を養っていくぐらいはできるだろう。そういう保険的意味合いでも、取得の効果は非常に高いと感じる。
実際、会社の中でも、中小企業診断士として副業をやっている人もチラホラいるようだ。そういう人たちとの意見交換会が定期的に実施されているようなので参加してみようと思う。